■VEMAC RD 180のテストドライブ

●エクステリア

 テスト走行に備え、全ての作業を終えたVEMACが、工場の狭い出入り口から表の駐車場に出された。
 緑に溢れた美しい景色と古い木造の建物、そして煉瓦作りの塀、それらの中ほどに置かれた、全く新しいVEMAC RD180は、そうした景色と見事に調和している。
 まず、初めて実車を見た人はVEMACのデザインの美しさにきっと感激するだろう。製作途中のクリスからのメールでも「Good Looking Car」なる表現が幾度かあった。
 タイムレスデザインとしたそのスタイリングコンセプトは流行を追うものでもなければ、懐古的なものでもなく、純粋にスポーツカーの良い形を追い求めたものである。それは現代のカーデザインとしても充分に魅力的であり、おそらく銀座の街並の中でも目を引く美しさを放つことだろう。
 私が少し気にしていたのは、全体のバランスの中での、リヤのエンジンフードの長さである。少なくとも写 真で見た感じでは、その長さが目立った。確信犯ではないが、実はBピラーの後端部の傾斜角に関して、他のミッドシップの車がするように、その角度を寝かせてコックピットを長く見せ、全体のバランスをとる手法があるが、VEMACではあえてそれを避けたのである。まずは斜め後方の視界を確保することであるが、同時に、その部分によりアグレッシブさが表現されて、また多少の灰汁(あく)は少量 生産車だからこそ出来る味とも言える。それはバランスを欠くギリギリのところにあり、写 真ではヤバイ感じがしていたのであるが、しかし、実車を見ると安心をした。いや、問題ないどころか、斜め後から見た感じは、この車の最も美しく見える角度とさえ思えたのである。
 日本サイドで完結しなかったルーフのオープニング方法についても確認をした。
 クリスの長男のルーク・クラフト氏(以後ルーク、VEMAC UKのマネージングディレクター)が手際良く、その手法を見せてくれた。
 まずはコックピット内にあるリアカウルオープナーのノブを引き、リアにヒンジとダンパーを備えるリアカウルをガバッと後ろに開ける。まずは、この開けた感じも壮観で、フォードGT40あたりのレーシングカーを彷彿とさせる。そしてエンジン後部のトランスミッションの真上に、この手の車としてはかなり大きなトランクがあり。ルークはいとも簡単にルーフ内側の4ヶ所のフックを外すと、ルーフを持ちあげ、そのトランクにスッポリと収めてしまった。
 また、リアウインドもホックを使った簡単な機構で取り付けられており、これも簡単に着脱出来るし、且つ水の遮断も上手く配慮されている。その着脱によりオープン時のコックピットへの風の巻き込みを調節出来る訳で、このあたりの手際の良さはオープンスポーツカーを多く作り続けてきたイギリスの環境が大いに影響しているのだろう、と察する。


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