■「Cadwell」から「CR」プロジェクトへ‥‥‥商品化に向かって

 搭載するエンジンとトランスミッションが決定し、パッケージ作業、詳細設計作業はぐんとはかどるようになった。スタイリングはフルサイズクレイモデルの段階に入る。
1998年の夏、小野は頻繁に東京アールアンドデー厚木事業所のスタイリングモデルスタジオを訪れている。まさにCadwellオンロードバージョンが原寸大の姿をあらわそうとしていたのだ。
スティーブの描いたイメージスケッチ、彼が発砲ウレタンで作った1/10スケールのスケッチモデル、設計部隊が進めているパッケージ図面と整合性をとりながら製作された1/5サイズのクレイモデル、これらをもとにフルサイズのクレイモデルが練り込まれていく。
クレイモデルはデジタルカメラで撮影され、撮影された画像はアメリカのヴァ−ノンのもとへ、英国のスティーブのもとへとインターネットを使い送られる。
クレイモデルの練りこみが最終段階に差し掛かった段階で、クリスとスティーブが来日、東京アールアンドデーのスタッフとの共同作業で最終的なモデルがまとめられた。さらにはアメリカからヴァーノンも来日、クレイモデルを確認する。こうして日、英、米の共同プロジェクトは進行していった。
 1998年の秋、小野が最終承認をおこなったクレイモデルは、英国へ輸送する雌型へと反転される。その雌型と東京アールアンドデーの設計スタッフが用意した図面をはじめとする開発資料一式が英国へ送られ、具体的な商品化への開発が日英協同作業の形ではじまった。

この段階でこのプロジェクトは「Cadwell」から独立する形で、正式に「CR」プロジェクトと命名された。CRはいうまでもなくCadwell Road version を意味している。1999年のはじめのことであった。
 
エンジン、ミッションの採用コンポーネントが具体的に選択されてゆくにつれて、基本計画の見直しやレイアウトの変更等の必要から、ひんぱんに日英間でのキャッチボールが重ねられた。ここでもインターネットは情報交換のツールとして大活躍する。
 設計の進行にあわせてボディ、シャシーの試作にもとりかかった。
 ボディ部品は日本から運んだ雌形モデルから再現したエクステリアボディをベースに、部品単位に作り直す作業がはじまる。シャシー部品も日本からの部品の確認、再選択とともにフレームの試作がはじまった。
 「CR」プロジェクトは日英を股にかけながらすすめられ、少しずつその姿を見せはじめていったのである。